「いらっしゃいませ~!」ミキママの勘高い声が狭い店の中に響き渡る。

葵ともう二人のアルバイトの女の子達も少し控え目な声で後に続く。

「なんだ、俺が一番か?」
入ってきた男はフラフラとした足どりでカウンターの真ん中の席にどかっと座った。

次の瞬間ガチガチに緊張していたであろうアルバイト三人娘達は一斉にお絞りを出していた。
綺麗に並んだお絞りを前にママとその客は吹き出してしまった。

「この子達ね今日から入ってもらってるの。今日は初日だから緊張しちゃってるみたい。でもみんな可愛い子達でしょ?私可愛いしか子取らない主義なの。だって可愛い子じゃなきゃお店に来たくないでしょ?」
ママの淡々とした言いが続く。

「ねぇ?君たちいくつなの?」
ママの話を遮るようにその客は私達に顔を向けた。