「うわぁ~!これすっごく美味しいっ!!口の中でとろけるのっ!噛まなくても全然オッケイって感じ!」

葵のはしゃぎように阿倍も合わせるように微笑んでくれた。

「葵ちゃんはいつも美味しそうに食べるよね。そんなところも大好きだなぁ」

阿倍の一言に葵の箸が止まる。

「そういうの、いいからさ・・。どんどん食べよっ。」

そして二人の会話を遮るように店員がテーブルに料理を置いていった。

葵は少しほっとしていた。

阿倍との仲は確かに良い。
何でも話せる。
支えてもくれる。
阿倍も葵を気に入ってくれている。

そこに世の中でいう恋人の甘さ、関係がないだけだ。

だけど今だに阿倍のことが分からない。
こんなに良くしてもらっているのに、阿倍は少しも見返りを求めようとはしない。
であるが故に怖い。
本当は後ろめたい何かを秘めているのではないか・・。