斜め前のお局の視線が今日も痛い。何か言いたそうにしている。

私達は必要な用件がない限りお互い殆ど話をすることはない。

年をとった女は皆、意地が悪いのだと葵は信じている。

自分も歳を重ねたらこんなふうになるのだろうか。

「今日のお昼ゴハンの順番なんだけど、私とあなたのどちらかが遅番に行かなくちゃいけないみたいよ。どうしましょ?」

ひょっとこのような顔つきで葵を捕まえ必死に伺う。

「私が遅いほうでいいですから・・。」

葵は出来る限りの笑顔でそう答える。

いつものことだ。

お局は安堵の表情を浮かべ足早に自分の作業へと戻っていった。

(いちいち聞いてくるな。結局てめえのしたいようにするんだろが・・)