「これがアイスね。これがミネ。グラスはこれを使って。ねぇ清ちゃん?今日は何がメイン?」

少し甘えたママの声の先にはカーテンで覆った小さな部屋から出てきた男の姿があった。
「あ、シェフの清ちゃんね。ちょっと変わった人だけどとっても良い人だから安心して。
昔植田のジャングルブックの厨房で働いていた経験もあるのよ。」

葵はその料理店の名前は聞いたこともなかったがそんなことには気にも留めずママの話に聞き入っていた。

(この清ちゃんとやらはママの恋人だったりするのだろうか・・?
ママはあんなに綺麗で妖艶で。その魅力にこの男もはまってしまった一人だろうか?)

20歳の女子が考えつくこととはそんな程度のものだった。

一通り仕事の流れを教わり、とうとう葵はその時を迎えることとなった。