こんな殺意的な朝に、阿倍の笑顔はいつもと何も変わらずそこにある。

「はい、これ買っておいたから。」と少し膨らんだビニル袋を葵に差出した。

「ありがとう・・。」
いつも葵が好んで良く買うパンとデザート、野菜生活と栄養ドリンクが入っていた。

「こんなに食べられないよ。」葵はぶっきらぼうに言った。

「残りは会社でお昼に食べたらいいんじゃないかな。」安部は微笑みそう言って高速の入り口へと車を進めた。
「ありがとう」

葵はそれだけしか言葉に出来なかった。