―深夜二時過ぎ―

葵を乗せた車は家路へと急いでいた

阿倍のことは好きでも嫌いでもなかった。

阿倍の過剰な愛情表現は時に葵を苦しめた。
ねぇ、今時「愛してる」とか「君だけだ」とか言わないんじゃない?
葵はからかうように続けた。

「古いの、そういうの!」

阿倍は葵の話を最後まで聞くと、「ダメかな。葵ちゃんのこと愛してるんだ。葵ちゃんだけなんだよ。俺の気持ちを素直に言ってるんだけどな。」

少し悲しい目をしながら言った。

阿倍と出会ってまだ2ケ月しか経ってはいない。
会うと言っても夜のみだ。お店に来てもらい、マンションまで送ってもらう。それだけだ。
それだけの関係だ。

友達でもなければ恋人でもない。