そして運命の日はあっさりとやってきたのだ。
「こんばんわ。」

カランと小さく鳴り響くウィンドウチャイムはこの狭い部屋に良く似合う。

「あれ?君葵ちゃんだよね?」

奥から出てきた男は葵に掛けよった。

「ありがとう。助かるよ。やる気になってくれたんだね?」

「まぁ・・はい、一応は。」

葵は弱い声を出した。
「大丈夫だよ、君なら上手くやれる。それに若いのも十分魅力のうちだから。」

「すいません、ミキママは?」

葵は母親とはぐれた小さい娘のような目で店の中を見渡した。