ちょっとだけ流れた嫌な空気。 その沈黙を破るようにあの人は話しはじめた。 「じゃあこれ。」 私が渡したキャンパスノートは、 あの人の手から私の手へ。 「…あり…がとうございます。」 「じゃあね。」 「はい!じゃあ。」 タッタッタッ… そう言うとまたあの人は、私が見えないところまで走って行った。 もう夏なのに涼しい風。 私の熱くなったほほを少しだけ冷ましてくれた。