中山千尋。



お互い近所に住んでいるおかげで、小学校で2年間ほどクラスは違ったが、あとは全て同じクラスだった。



私の親友であり、悪友であり、腐れ縁でもある、唯一無二の存在。



運動神経抜群で、陸上部の次期部長を任されておきながら、生徒会では会計を務めてしまうほどの秀才。



誰からも好かれ、なんでも器用にこなしてしまう千尋。



一方、親友とのたまう私にはこれといって特技はなく、たまに暴走する千尋のブレーキ役をしているくらい。



普通なら千尋に嫉妬してもいいところだが、邪気がない故に憎めない。



結局、千尋は大切な友達なのだ。




シェイクをすすりながら、ぼんやりと千尋に相づちをうつ。




「じゃあ決まりね!」




不意に肩を叩かれ、びくりと視線を千尋に戻した。



ん?なんだって?




「花咲文具店、一緒に行ってくれるんでしょ!?」



「え?あれ?」




千尋はサクサク立ち上がると、私の肩掛けカバンをも掴むと、足早に店の出口へと歩き出していた。



適当に頷いていたら、いつの間にか千尋の誘いに乗っていたみたいだ。




「ちょ、待っ…」




慌てて立ち上がったら、隣の机に腰をぶつけた。




「あぁ、もうっ」




すでに見えなくなっている千尋の後ろ姿を追って、私も店を飛び出したのだった。



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