勝ちゃんは多分、そこら辺の乗り物でも見ているんだと思うけれど、特に何か話を切り出したりもしなかった。


わざわざ気を使って、話題を作るような仲じゃないことはわかっている。


そもそも小さい頃からずっと一緒にいて、兄弟も同然の毎日を送ってきているんだから、本当はこんな沈黙だってどうってことないはずなんだ。



高校2年生の冬に、勝ちゃんを男として見るようになってからと言うもの、あたしはどうしてもそれまでのペースで彼と接することができなくなってしまった。


それから早1年半。


真剣な告白を笑い飛ばしてしまったこともあって、今ではもうどう接していいのかさえ、わからなくなって来つつある。


例えば今だって、チラッとでも勝ちゃんが見ているものを確認すれば、それを簡単に話題にできる。


昔はこんなに考えなくても自然とそれをやっていたのに。


勝ちゃんのいる斜め横すらちゃんと見ることができないあたしは、かき氷の列に並んでいるアイチと駆とシーやんをただ見つめていた。


何やら盛り上がっている3人を見つめながら、アイチはすごいなぁなんて、ちょっと羨ましく思う。