小学生以来、初めて来た花やしきは、記憶の中と随分違った。


到着してすぐの頃はそんな風に感じていたけれど、園内を歩き始めるなり、それはキレイに撤回された。


作り物の民家を駆け抜けるジェットコースターに、白鳥が水面をメリーゴーランドのように回る乗り物。


お菓子の家が高く上がっていく乗り物に、2つあるお化け屋敷。


それは記憶の中から飛び出してきたみたいにちゃんとそこにあって、見つける度にその頃の気持ちを思い出す。


まるでアルバムの中に入ったような感覚だ。



午後2時を過ぎる頃、ジェットコースターに5回連続で乗ったこともあって、少し休憩を取ることにした。


園内にはショーをやるためのステージがあって、その前には細長いベンチがいくつも並んでいる。


その席のほとんどはお弁当やらかき氷を食べる家族連れで埋まっていたけれど、丁度、2つだけ後ろの方のベンチが空いていたから、あたしたちはそこに陣取ることにした。


「あぁ~、クレープ~」


荷物を置いてすぐ、チェリーはかわいらしい店へと引き寄せられるように歩いて行った。