「やっぱかっこつけてるんだ」


「当たり前じゃん。仕事中はかっこいいカフェ店員イメージしてるもん」


こんなに素直に答えてくれるなら、別の質問にも素直に答えてもらいましょう。


「じゃあ、駆といる時は?」


「別に普通だよ」


別に、の前に少しの間があった。


「うっそだぁ~。駆の前ではか弱い女の子になっちゃうんでしょ~?」


けれど、そこからは予想外の展開が待っていた。


「勝ちゃんの写真、隠し持ってる奴がよく言うよ」


「違う!」


焦ったせいか思わず声が大きくなる。


それとは逆にアイチは余裕のある声で続けた。


「昨日の夜は写真にちゅーとかしちゃった?」


「ばっかじゃないの!?するわけないでしょ!」


「そんな隠さなくていいって」


「だから、してない!」


ちょっかいを出すつもりが逆に返されてしまった。


相変わらず手強い相手だ。


仕事場でのあの落ち着きは一体、どこに行ってしまうのか。


「写真、べちょべちょにしないようにね~」


「何言ってんの!?」


冗談じゃない。


全く何を考えて…