「会いたくない」


一番にそう言ったのはチェリーだった。


彼女はその理由をさらに続ける。


「会いたくないよ。だってもし会えたとしたって、もう一緒には生きられないんだもん」


そう語る声のトーンが沈んでいた。


すぐに何か別の話題を考えてみたけれど、もう既にそれを言い出せる空気じゃなくなっていた。


「おれは会いたいな」


駆は堂々とそう言った。


こんな話題になってじたばたしているのはやっぱりあたしだけなのかもしれない。


駆はゆっくりとみんなに語りかけるように続けた。


「おれたち、愛生のこと、明るく送り出せたかなぁって思うんだ。愛生は何もかも置いて、1人、天国に行かなきゃならない。おれたちなんかより絶対辛いと思うんだ。だからせめておれたちは明るく送り出すくらいはしないといけないじゃん。でもそれが1年前に本当にできてたのかなぁって思う」


できていない。


あたしはすぐにそう思った。


だって1年前はいっぱいいっぱいで、どうしていいのかわからないまま、生きていた。


病院に駆けつけて、わけもわからないままお葬式があって、その次の日にはもう火葬場にいて、何も考えられないまま、ただスケジュールをこなしていた。