その続きがあるのかと思って黙っていたけれど、それはなかなか始まらない。


「お前は何言おうとしたんだよ」


シーやんはタバコの煙を吐き出すと、自分からそう言ってあたしを見た。


「え?いや、この日って喪服なのかなぁとか思って」


素直な疑問だった。


冠婚葬祭に関するきっちりしたしきたりなんて、全くと言っていいほどわからない。


「そうだよな。一周忌ってどうなんだ?」


シーやんが難しい表情を浮かべて、視線をテーブルに落とす。


「一周忌は喪服」


その答えは髪がチャラチャラしている駆からのものだった。


駆はあたしたちよりずっと冠婚葬祭に関することに詳しいみたいだ。


10歳の時にお父さんを亡くし、お母さんと妹を守ってきた長男はあたしたちよりずっと大人だ。


「さすが駆」


チェリーを始めにみんなが拍手を送ると、駆は「だろ?」なんて得意気な表情をした。


そんな駆にあたしは話題を振った。


「駆は?何、言おうとしたの?」


けれどそれは間違っていたかもしれない。



駆は言った。


「もしさぁ、愛生に会えたらみんな、どうする?」