「悪いのは全部あいつだから仕方ない」


今、何て…


「あいつは二度とおれたちの前に現れないと約束した。それなのにその約束を破って、おれの前に現れた。こんなことになるのも全部自業自得なんじゃないのか?」


「違う!アイチは何も悪くない!悪いのは全部お前だ!」


男は声を上げて笑った。


そしてそのまま、気持ちの悪い笑みを消さずに話し出した。


「おれはあいつみたいな奴が大っ嫌いなんだよ。キレイゴト並べて、まるで少年漫画のヒーローみたいなことしやがる。この世は仲間だの周りだの考えて生きていけるほど甘くないんだよ。すべては自分中心だ。そうじゃなきゃ幸せを逃すどころか生きてもいけない。愛生がいい例だろ。自分中心になれば、今も生きていられたのに。死んだら終わりなんだぜ?」


ごめんね、アイチ。


明日、あたしはアイチの告別式には出られない。


それだけじゃない。


もうみんなにも会えなくなる。


ニュースや新聞であたしのことが報道される光景が頭の中に浮かんだ。


男はまだそのくだらない理論を並べていた。