午後6時に通夜が始まると、参列者は列を切らすことなくやってきた。


保育園や小中高の友達に先生、さらには先輩や後輩までもがやってくる。


商店街の人たちも次々に顔を見せたし、アイチが働いていたドッグカフェの人たちもやってきた。


見たことのない人たちは、きっとドッグトレーナーの学校関係、もしくは転校した小学校関係の人たちなんだと思う。



参列者が焼香に来る度に頭を下げながらも、あたしはあの男の表情の変化に気付いていた。


最初は何てことない普通の顔をしていたのに、参列者がハンカチで目を押さえたり、その場に泣き崩れたりする姿を見ているうちに、どんどんと居心地が悪そうな表情を強めている。


もっともっと居心地が悪くなって、この場から逃げ出せばいいと思った。



あいつが傷付け続けたアイチは、こんなにもたくさんの人に愛されていた。


それをもっと知って、自分がしたことの罪の重さに押し潰されてしまえばいい。



参列者に頭を下げながら、ただ、その時を待っていた。