あまりにみんなの態度が普通すぎて、あたしはまた自分の情けなさを知った。


みんなはもう、しっかりと1年前の出来事を抱えられている。


去年の夏にはアイチの名前を出すだけで必ず誰かが泣き出していたと言うのに、たった1年で人はここまで現実を受け入れられる。


あたしはまだ1人、それを受け入れられていない。


「真海子?」


チェリーに名前を呼ばれてハッとした。


「7月16日の日曜日」


何も考えていなかったかのようにあたしはそう伝えた。


みんながそれぞれメモをしていく。


まるで去年の夏、まだアイチが生きている頃にみんなで花火大会やバーベキューの予定を決めていた時のような空気が流れていた。


それは棺に入ったアイチを見たその夜、みんなで決めた約束があるからだ。


悲しまない。


アイチが安心して天国に行けるよう、みんなで彼女が大好きだった明るい雰囲気を作ろう。


アイチがいなくなってすぐの頃こそ泣いていたみんなだけれど、やっぱりもう彼女のために明るい雰囲気を作れるまでになった。


あたしは…。