千津ちゃんはアパートの駐車場の前で待っていた。


あたしとは違って、いつもと変わらないきちんとした格好はしているものの、髪もお団子にしていないし、化粧もしていない。


そのせいか、見てすぐわかるくらい顔が青ざめていた。


「事故ったって!?どんな状況なの!?」


あたしの問いに千津ちゃんは小さく首を横に振った。


「わからないわ。ただ家族を呼ぶように言われて…」


家族を呼ぶように…?


最悪の状況も考えられると言うことを突然突き付けられて涙が溢れた。


ねぇ、アイチ。


何、やってんの?


冗談だよね?


ねぇ、冗談だよね?


「みんなには?連絡してくれた?」


「みんながここに来てくれるって」


うまく働かない頭で何とかそう答える。


「そう。それじゃあ待っていましょう」



何でこんなことになっているのかわからなかった。


今日はアイチの誕生日で、あたしたちはパーティーの準備をするつもりで、あたしはついさっきまで楽しみで眠れなくて。


それがどうして今、こんな最悪の状況に陥らなくちゃならないんだ。


溢れてくる涙を何度も何度も拭った。