「そこまで短くしろとは言ってません~」


「何でだよ。長いのが嫌なら、スキンヘッドしかないな」


「何なの、その究極の選択」


「究極じゃないよ。おれ、結構、この髪型気に入ってるし」


「気に入っちゃダメ!」


ダメって…。


確かに駆の今の見た目はチャラチャラしているかもしれない。


けれど、彼は実家の駄菓子屋兼土産屋を継いで、近所の子どもたちの良きお兄さんになっている。


彼がチャラチャラしているのは見た目だけだとわかっているからこそ、チェリーは激しい嫌悪感を示すのかもしれない。


2人がそんな言い合いをしているうちに、あたしはカウンター席の一番奥に、シーやんはそのすぐ後ろにあるテーブル席の1つに座った。


清澄エッグがオープンしてからの指定席だ。


あたしの隣を1つ空けて、駆。


シーやんの前がチェリー。


勝ちゃんは大抵カウンターの中にいる。


あたしたちが席に着いても、チェリーと駆の言い合いは終わりを見せなかった。


髪型に対するこだわりはどちらも譲れないらしい。