ストレートの駆の髪は、黒髪から明るい茶髪になっていた。


アイチがいなくなってから、髪を黒くしていた駆だったけれど、今日の彼はアイチがいた1年前と同じ、明るい茶髪になっている。


1年前の記憶を一気に思い出しそうになって、慌てて抑えた。


その後で千津ちゃんから頼まれていた伝言を思い出したけれど、今はまだ伝えるタイミングじゃないと胸にしまった。


「夏だからちょっと明るくしてみた」


駆はそう言って、町内のおば様たちに大人気の少年っぽい笑顔を見せる。


「そっちの方が駆らしいよ」


そう頷いたあたしたちの中で唯一、1人だけ頷かない人物がいた。


チェリーだ。


「何かホストっぽい!髪、短くしてよ!」


確かに駆の髪は去年の夏に比べると、少し長くなってギリギリ肩に付くぐらいまである。


チャラチャラしている男が大っ嫌いなチェリーは、ちょっと長い駆の髪にも激しく嫌悪感を示す。


「じゃあいいよ。明日、スキンヘッドにしてくるから」


拗ねたような駆の声をチェリーの声は素早く追い掛けた。