「俺は…死ぬよりも、辛い思いをしてるんだ!なぜ、なぜ…島民を…っ!!なぜ…」

千歳は、膝から崩れ落ちた。

地面に手をつき、強く叩く。

「なぜだ!なぜ…っ!!うわぁぁぁぁぁっ」

どうしようもない感情に、千歳は涙を流し続けた。

「苦しめよ…!島民全員分…苦しめ…この野郎!畜生ーーーーっ!!」

声の限り叫んだ。

叫び続けた。

そして、五郎丸はーー…。

「死んだか…」

叫びすぎて枯れた声で呟き、夏の方へふらふらと歩いていく。

「夏…。すまなかった…夏っ!」

夏を持ち上げると、夏の左手にはしっかりと赤い櫛が握られていた。

「…クッ…夏ぅ…っ」

それから、千歳は一日中泣いていた。