「夏…!!」

夏は、その向こうに倒れていた。

口や急所からは血が出ていて、息も絶えていた。

「な…夏ーーっ!!」

夏の胸に顔を埋めて、千歳は泣いた。

そして同時に、どうしようもないくらいの怒りがこみ上げてくる。

千歳は、家から飛び出した。

そして、大きく息を吸った。

「五郎丸!どこだーーっ!!」

その声は、大きな悲しみと怒りを秘めた声。

涙を流しながら、千歳は刀を構えた。

すると、すごい砂埃が立つ。

「来たか、千歳」

五郎丸の声が聞こえる。

千歳は、ギッと見えない五郎丸を睨みつけた。