みんな、死んでいる。

寒気がするほど静かな島。

話していた女たちも、死んでいる。

鳥の鳴き声一つしない。

犬も馬も…何の音も聞こえない。

「夏!」

千歳は、家に向かって走り出した。

夏と、その弟がいる家に。

…胸騒ぎがする。

「夏!夏!!」

全力疾走で、周りを警戒しながら進む。

みんな、みんな死んでいた。

通ったところは、みんな死んでいた。

「嘘だろ!?夏…」

家につき、扉を開ける。

驚くほど静か。
そして、かなりの異臭。

「夏!どこだ、夏!!」

部屋には、弟が血を流して死んでいた。

横には、千歳があげた貝殻。