夏が、台所で溜め息をつく。

千歳は、ギュッと夏を抱き締めた。

「…夏。結婚しよう」

夏は、顔が一気に熱くなる。

弟は、目を丸くしていた。

「千歳、僕のお兄ちゃんになるの?」

弟が、嬉しそうに言う。

夏は、頷いた。

「うん!お母さんが帰って来たら、結婚しよう…。うち、千歳と結婚したい」

夏は、幸せそうに笑った。

千歳は、侍を捨てようと思った。

こんなところまで、五郎丸は嗅ぎつけられないだろう。

それに、千歳が侍を捨てれば文句はない。
諦めるはずだ。

何もかも捨ててしまおう…。

そう思った。