報告って事もあるけど、ちょっとドキドキして興奮気味だったから、ヨウコちゃんと話して、気を落ち着かせようと思ったからだった。

「へえ、じゃあ考えようと思ったんだね」

 ちょっと待ってね、とヨウコちゃんは移動したらしく、ガヤガヤが静かになった。

「いいのね?」

「え……」

 心の柔らかい部分が、びりりっと痺れたような気がした。

「分かんないけど、どうなるか……」

「まあ、そうだよね。急ぐこともないか」

 うんうん、とヨウコちゃんは言う。

「あたしもミナトさんて、よく知らないんだ。何かあったら連絡してよ。話聞くし」

 よくある、友達の友達の彼氏の友達、みたいな感じで来たミナトさん。ヨウコちゃんの直接の知り合いじゃないみたい。ああいう場って、数合わせで呼ばれたりするよね……。でもミナトさんは楽しんでたみたいだけど。

「ミナトさん、悪い人じゃなさそうだよ。ゴメンね、ヨウコちゃん」

「やだわーなんで謝んの」

 苦笑いしてるヨウコちゃんの声。顔が思い浮かぶ。心も少し、落ち着いてきた。
 ミナトさんに、自分で電話しちゃったし、脈アリと思われてるかもしれない。彼があたしをどう受け取ったか分からないけど、何もしないでいるよりは良いと思った。

 ミナトさんは、あたしの中の新しい予感。でもそれが幸せなものなのかは、分からない。
 会う約束の日まで、あと数日。それまでバイトして、蓮にも会うかもしれない。お給料日も挟むし、新しいアイシャドウでも買おうか。見えない目に、飾りを付けるために。