「は~い、二次会行く人!」

 店から出て、ビルのエレベーターの前。二次会があるからと、出欠確認だ。ちらほら手が挙がる。

 誰かが、あたしの腕を掴んで上へ持ち上げた。

「はーいココ2人も」

「え、ちょっと」

 ミナトさんだ。ヨウコちゃんはこっちを見て、ニヤニヤしている。

「だって、多い方が楽しいでしょ。そんなつまんなそうな顔してないで、一緒に行こうよ」

 ミナトさんはエレベーターを指さす。あたし、そんなにつまんなさそうな顔してるんだろうか。
 蓮と同じことを言わないで欲しいな……。

「分かりました、すみません」

「よし」

 二次会はカラオケ。うーん、更に苦手過ぎる。言われても誘われても、絶対に歌わないからね。でもみんな明るくて、好きな歌を気持ちよさそうに唄っている。ちょっとうるさいけどね。

 ヨウコちゃんは、歌が巧いので、さっきからリクエストに応えて歌っている。彼女にはちゃんとした彼氏が居るので、きっと適当な時間に彼氏の家に行くんだと思う。

「一軒目よりも飲んでるね。楽しい?」

 二次会でも、何が楽しいのか、あたしの隣に居るミナトさん。つまんなそうにしてるあたしの隣で、楽しいのかな。

「みんな楽しそうだから。見てたら楽しい……気がする」

 すると、ミナトさんはにっこり笑った。

「そっか! 俺もそう思う」

 まるで、小さい男の子みたい。それが可笑しかったのと、ミナトさんが楽しそうだったから、ちょっとあたしも笑ってしまった。

「あ、笑った」

 ……あたし、そんなにムッツリしてたのか。

「笑ってなよ、その方がいいよ」

 そう言って、ミナトさんはあたしの頭をポンポンと撫でた。