危ない!危ない!!

パッと、ヤツから包丁を取り上げた。


「杏、どうしたんだ?」

おいおいおいおい!!

どうしたんだ?じゃないわよ!!


「陸さん?ひとつお伺いしますが……今までに、料理したことあるよね?」


小学校、中学校、高校……家庭科の調理実習というモノがありましたよね?

包丁くらい握ったことあるよね?


そう思って問い掛ける。


「……ん〜〜そういえば、ねーな」

「はぃ!?ウソでしょ!?」

そんな呑気に答えられても、困るんですが……。


「調理実習はやったでしょう!?」

たとえ、陸が大財閥社長の息子で、家には多くのお手伝いさんがいて……掃除・洗濯をしたことがなくても!!

学校の授業だよ!?

多少興奮気味に、問い掛けたのだが───……。


「んなもん……ねーよ。つーか、何もさせてくれなかったし」


ヤツからのあまりに驚愕する返事に、カポッと顎を外しそうになる。


「な、なんでさせてくれなかったの?」


そして、またその理由を聞いて……本当に仰天してしまった。