5時間後───……。

キッチンでコーヒーを入れ直す。

陸が飲みたいって言うからさ。


「結構面白かったね」

キッチン内にある椅子に座っている彼に話し掛けた。

「お前、怨霊しか見てねーだろ」

呆れ気味の口調で変えされる。

「うん。だけど、いーの」

──コポポポ……

入れたコーヒーをマグカップに注ぎ込んだ。

「ん、サンキュ。でもなんで?」

それを渡すと、問い掛けられる。

「う〜ん……陸と見れたからかな?」

なんてことないことでも、陸が一緒なら……楽しいと思える。

映画の内容より、まったり過ごす時間が何より楽しくて……嬉しいんだもん。


そう続けて答え……あたしも自分のコーヒーに口をつけた。


「に、苦い……」

ブラックコーヒーに顔をしかめる。

まだまだムリだ……飲めない。


舌を出して、早く苦味を取ろうとしたら……。

「口直ししてやる」


さっきよりも、断然嬉しそうな顔をした陸に、口づけられた。