あたしの髪に顔をうずめられた。


「ごめんごめん。ぐっすり眠ってたから、いいと思ったの」

「……次からは、隣にいろよ」

「うん」


ニコッと微笑んで、陸のほっぺにちゅーする。


「ご飯食べよ?」

「あぁ」


そう言って、ふたりともテーブルに着いた。





午後からも、土砂降りの雨は変わらなくて。

窓から見える空は、灰色の雲に幾へにも覆われている。


そんな天気の中、あたしと陸は───……。


「うわっ……絶対来るっ……!」

バシバシと彼の腕を叩く。

「杏……いてーよ」

「あっごめん。……キャアアアア〜!!」


真っ暗にした部屋の中で叫んだ。

でも、それは悲鳴じゃなくて……歓喜に近いもの。

「やっぱり出て来たよ!主人公の背後!!特殊メイク頑張ってるよねぇ〜」


なぜなら、陸とホラー映画のDVDを見ているから。