その手は、そのまま

ギュッとあたしの手を掴んだ。


ふっ、ふぇ…!!?///



「翼くんっ…」


「イヤ?」



ブンブンと首を左右に振る。

フッと笑ったかと思うと、パッと手が離された。


……え…



温かさを失った手。

急に寂しくなってしまう。



「そんな顔すんな。改札通るんだから。」

「へ……ぁっ。」



そっか。 まだ改札口を通ってなかったんだっけ。

翼くんに夢中で忘れてた。



「…大丈夫かよ?」


「え!?うんっ。」



先に行ってしまう翼くんを追いかける。


…もう繋いでくれないのかな。



せっかく手を繋いで行けるのかと思ったのに。




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