そして、無理矢理笑顔をつくると、「そういえば、今日はお祭りだね!」と、話題を変えた。


「あぁ、そうだったな。ここからでも花火は見えるぞ」


と、すぐるが窓の外へ目をやる。


「弥生、何か食べたいものないか?」


「え?」


すぐるの言葉に弥生さんが振り向く。


少しだけ、目が充血しているのが見えた。


「すぐ近くだし、屋台で買ってきてやる」


「本当?」


弥生さんの表情が、パァッと晴れた。


「じゃぁ、イチゴ飴! 私、イチゴ飴が食べたい」


「言うと思ったよ」


すぐると、清子さんと……そして弥生さんの笑い声が聞こえていた……。