「アハ。今度のデートまでに敬語使わないように練習すること」


「えぇ? そんな……」


困っていると、誠先輩は私の体を大きな腕で包み込んできた。


冷たくなっていた体が、一気に熱をおびる。


「碧……」


誠先輩が、耳元で私を呼び捨てにする。


……違う。


心の中で、そう思う。


なにが?


なにが違うんだろう?


「碧、好きだ」


すぐるには言われたことのないその言葉を、誠先輩が言う。


違う……。