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誠先輩とのデートは、きっと誰もが憧れるようなものだったと思う。


もちろん、学生だからお金を沢山使うようなデートはできないけれど、いつも私よりも少し先を歩いて、手を引いてくれた。


何度も行った事のあるお店。


何度も通った道。


見慣れているものすべてが、別の形をしているようにも見えて、新鮮さを感じた。


そんな時間はあっという間にすぎていって……別れの時間。


「今日はありがとう」


約束場所の公園で、誠先輩はそう言った。


「こちらこそ、ありがとうございます」


私はそう返事をして、丁寧にお辞儀をする。