ファミリーレストランを通り過ぎ、商店街へと入っていく。


土曜日の商店街は私たちくらいの女の子たちも多くて、手をつないで歩くのがなんとなく恥ずかしい。


知り合いにバッタリ会ったらどうしよう。


そんな不安もよぎるけど、誠先輩は私の手をしっかりと握ったまま、離さない。


「ねぇ、碧ちゃん」


「はい?」


「『先輩』っていうの、やめない?」


どこか言いにくそうにそう言う誠先輩に、私は人ごみの中立ち止まる。


誠先輩は振り向き、「俺たち、付き合ってるんだから」と言った。


確かに、そうだけど……。


「呼び捨てでいいよ?」