「ねぇ、どっちがいいかな?」


「服? 初めてのデートなら明るいほうが絶対いいわよ」


「そうかな?」


今度は、薄いピンク色のセーターを当ててみる。


「あら、可愛いじゃない」


「そう?」


「碧は童顔だから、無理して大人びたのを着るより可愛い服を選んだ方が得よ」


そう言って、自分でうんうんと頷いている。


私はそんなお母さんを見て、思わず笑った。


そういえば、共働きのお母さんとこうやって笑いあうのは久しぶりだ。


これも、誠先輩のおかげかもしれない……。