ヒロトは花火だけを見ている。 私のことなんて、もう見てくれない。 私はヒロトだけを見ている。 音だけの花火なんてつまんないよ。 ――つまんない。 せめて花火じゃない音。 ヒロトの声で。 何かいって欲しいよ。 花火だけがどんどん打ちあがっていて。 まわりだけが盛り上がっていて。 私だけが取り残されて。 ――つまんない。 いつの間にか時間だけが過ぎていく。