その顔はさっきまでのデルデと違う人のようだった。

どこか冷たく、
俺を睨み付けるような目。




「名簿に私があなたの名を書けばそこで終わりです。」


「しかし、名簿に名がないのならば、あなたに再び命を与えることは…私には可能です」


そして、俺の左胸から手を離し、紙に目を通す。



「選択肢は二つ。死ぬか生きるかです」



そう言われて、
俺には一つの疑問が生まれた。





「もし、俺が死んだままでいいと言ったら…俺が行くのは天国か? 地獄か?」


デルデは紙から目だけを離して俺に言った。




「さっきも言いましたが"無"ですよ」



デルデはそう言った。
つまり、俺は天国にも
地獄にも逝かずに
この真っ暗で何もない
"無"にいなければならないのか?



「天国は、生前に罪を起こさずに最後まで生き抜いた者が導かれし場所。そして、地獄は、生前、重い罪を犯した者が導かれし場所。」



そして、デルデは
そのまま話を続けた。



「あなたは、罪を犯したわけではないので地獄には導かれない。しかし、自ら命を落としたので最後まで生き抜いたことにならず天国にも導かれません」