リンゴの木の下に辿り着いた真一は阿修羅に語り始めた。

「うちのお父さんがいつも言ってる。人間の一生は短いぞ、あっと言う間に年取るぞって。だから時間を無駄にして生きちゃいけないって。」


「だから、ここにいたら永遠に生きれるからいいじゃない?」


「それは、そうだけど・・・人間の寿命に限りがあるから一瞬一瞬を一生懸命生きる事ができると思うよ」


「ふ~ん~、人間の考えてる事はよくわかんないわネ」


そう言うと阿修羅は真一にリンゴを差し出した。


「ハイ、じゃあ食べて!」


真一は迷わずリンゴを食べた。その瞬間に二人の姿はエデンの園から消えた。


そして気がつくと真一は別の場所に立っていた


「阿修羅・・・さん、ここは?」


「ここ?ここは桃源郷よ」


「桃源郷?」


「知らないの?ヘボ仙人が住んでる峡谷よ」


「ヘボ仙人!?」


「そうよ、そのヘボ仙人が育ててる桃を食べると不老不死になるの」


「それを食べろって言うんでしょ?」


「そんな事言わないヨ、でもその桃を人間界へ持って帰って桃のエキスを量産して売れば、あっという間に世界一の億万長者になれるヨ」


「でも、世界中の人々が不老不死になると人間が溢れて食べ物も資源も足りなくなるんじゃない?」


「そうよ、でも不老不死だから、空腹でも資源が無くても死なないよ」


「そんな~、資源が無いと~電気も無くて~空腹で永遠の時間を過ごすの?」


「そう!でも心配しないで。そのうち全員気がおかしくなって、苦痛もわからなるから大丈夫よ!」