真一と阿修羅が消えて一週間が過ぎようとしていた。


真一に化けた韋駄天は昼休みに教室で美由紀と雑談していた。


「この前もさあ、怖い夢みたんだよ」


「どんな?」


「顔が牛で体が人間のような化け物が出てきてね・・・最後に地獄に行くの」


「変な夢~」


「そうなの、でもそんな夢の時いつも真一君がいるんだよネ」


「それで、僕がその怪物をやっつけるんだろ?」


「ぜんぜん!!他にイケメンの人がいたような気がするんだよね~」


韋駄天は思った。


・・・・何度か記憶を消されてても心の奥底に残ってるんだな・・・・・


「ねぇねぇ、今日私の家で一緒に勉強しない?」


「いや、あの、勉強はちょっと・・・・子犬の散歩もあるし・・・」


勉強は苦手な韋駄天であった。


阿修羅と消えた真一はエデンの園にいた。


「阿修羅さん、ここはどこ?」


「あっ、阿修羅でいいヨ。ここはアダムとイブが追い出された楽園だよ。」


「アダムとイブって聖書の?」


「そうよ」


「そんな、嘘でしょ?」


「嘘じゃないよ、ほら、あそこのリンゴの木の実を食べたんだよ」


真一が言われた方を見ると確かにリンゴの木があった。真一は信じられないと思いながらも・・・

「どうしてエデンの園に来たの?」


「人間の歴史を作り変えようかな~と思ってだよ」


「阿修羅!・・・さん、それってどういう事??」


「今の人間や社会は全てデリートして、その後君がアダムにって私がイブになるの。そして永遠にここで暮らすの。どう?いいと思わない!?」


「永遠って??」


「ここにいたら死なないの。あのリンゴを食べない限りここで永遠に生きられるって事よ」


「リンゴを食べるとどうなるの?」


「ここから追放されるから永遠には生きられないわね。」


そう言うと阿修羅はリンゴの木のほうへと歩き始めた。


真一は心細くなってすぐに阿修羅の後を追った。


「まってよ!阿修羅!・・・・さ~~~ん」