真一は答えずに黙っていると、もう一度部屋の中から声がした

「どうぞ、お入り下さい」

すると茶髪の男が「ほら!早く入れ!」と真一とケンさんを無理やり部屋へ押し込んだ。


部屋の中には銀縁のメガネをかけた初老の紳士が立っていた。


初老の紳士は茶髪の男に一万円の札束を渡し礼をした。


「どうもご足労おかけ致しました」


「いや、こんなガキおびき出す位ちょろいもんよ」


そう言って茶髪の男が部屋から出ようとした時真一は


「そのお金を使っちゃだめだ!死ぬぞ」


「何言ってんだ、このガキ!」と戻って来て真一の足に蹴りを入れた。


「ちっ!生意気なガキだ」


と言いバタン!と大きな音をたててドアを閉めて出て行った。


「ようこそ、いらっしゃいました。お待ちしておりましたよ」


初老の紳士は真一を見つめて言った。


「僕らをおびき出して何のようだよ?」


「計画の邪魔なのですよ」


「計画?何の計画だよ?」


「サタン様の計画に邪魔なのです」


「サタン?悪魔のサタン?」


「悪魔では御座いません、真の神であるお方ですよ」


その時マキが


「真一、ここはヤバイよ!部屋から早く出て!」と言った。


すると、マキの通信が聞こえていたかのように初老の紳士が


「その、お声は閻魔大王の娘魔生さんでは?」


「誰?私の声がわかるの?貴方はいったい・・・・」


「私は遠い昔、閻魔大王によって地獄界を追放された狂牛魔王ですよ」


「狂牛魔王!!・・・・何故サタンの手下になってるの?」マキが千里眼の向こうで叫んだ。


「貴方の父上の閻魔大王に復讐するためですよ」


「それは逆恨みだわ!貴方が地獄界を乗っ取ろうとしからでしょ?!それに真一達には関係ない事のはずよ」


「彼らには人質になって貰いますよ」


狂牛魔王がそう言うとドアの鍵がガチャッと閉まった。