「マキ、僕は嫌だよ」

「急にどうしの？真一」

「こいつは僕と美由紀がデートの時、突然絡んできて殴ったやつの一人だ」

「いつ？そんな事初めて聞いたよ」

「ケンさん、にも黙っていてくれるに頼んでたから・・・」


真一は腫れが引いて来た瞼の辺りを擦りながら言った。


「ケンさん、本当？」

「えらい、すんまへんな。マキお嬢さん！真一が可哀そうだったもんで！つい」

「真一！でもね、気持ちはわかるけど・・・このままにしておく訳にはいかないのよ」

「僕は嫌だ！風神君、雷神君に頼めばいいじゃないか」

「彼らじゃ、だめなの！地獄門の鍵が浄化されて使えないのよ」

「そんなに言うんだったら、マキ！自分でやってよ！」


・・・・・マキは真一の言葉にしばし沈黙した・・・・・

「私が自分で・・・自分で出来る事だったらやってるよ！真一の馬鹿！嫌い！」

マキは怒って千里眼の通信を切った。真一にはマキの目が潤んでいたように見えたのだった。


「真一、マキお嬢さんに無理ゆうたらあかんやないか」

「ケンさん、僕、無理言ってないよ。いつも無理言ってくるのはマキのほうじゃないか」

「真一、閻魔族の寿命はな1000年位なんやで、そやからなマキお嬢さんはな人間界の歳でゆうたら大体な１６０歳位や」

「１６０歳！？」

「そや！それで今、地獄高校へ通ってはってな真一と同じ花の高校生や」

「また、ケンさん！長い話になるのは止めてよ」

「あのな、人の話を最後まで聞く耳持たんかい！それでな、地獄界におればやな後８４０年は生きれるやろ」

「そう、そうなるの？・・・かな」