その時、美由紀から携帯に電話があった。

「あっ、マキごめん!電話だから切るよ」

「う、うん。また連絡するよ」

真一と話の途中で通信を切った後。マキは・・・・なんだろ?この気持ち。ジェラシー?・・・・・

・・・・そんなわけないよ・・・・人間の男子を好きになるわけないよ・・・・・ね・・・・

マキは自分の気持ちが真一に傾きつつ有る事を認めるわけにはいかなかった。


それは、美由紀との何回目かのデートの時だった、近道をする為に路地裏を歩いていると
前から来た3人の金髪の不良にからまれた。

真一は美由紀を連れて走って逃げたが、結局捕まってあちこちを殴る蹴るの暴行を受けた。

ふらふらと気を失いかけた時、誰かの通報で駆け付けた警察官に助けられた。

そして、派出所から出て帰る時

「高島君、大丈夫?血が出てるよ」

「うん、でもこれ位平気だよ」

真一は美由紀に借りたハンカチで口を拭きながら、情けない自分が悔しくて泣けてきそうだった。

その日家に帰るとケンさんが・・・・

「真一どないしたんや?その顔は?誰にやられたんや?」

「うん、ちょっと街で不良にからまれたんだよ」

「美由紀ちゃんは?」

「あ、なんとか無事」

「そうか。最近、ぶっそうやからな。あまり知らへんとこへ行ったらあかんで」

「うん、ありがとう。ケンさん。この事、マキには内緒にしていてね」

「よし、わかったで」

その夜真一のまくらは静かに涙で濡れた。