「でも、ケンさん。それと生きる事とどう関係あるんだよ?」

カプッ!ケンさんは堪り(たまり)兼ねて真一の足に噛み付いた。

「イテテ、起こらないでよ!ケンさん」


「わいが、人間やったら思いっきり、どついてるとこやで!本当の勉強してへんから、わいの言ってる事がわからんやろ!」


「だって僕、まだ16になったばかりだよ」


「あほんだら!大昔やったらとっくに成人してるわい。それにな、わいが16の時は大人より稼いどったで」


「ケンさん、時代が違うよ!時代が!」


「ほう、さよか?ほんなら時代が変わったら人の能力も変わるんかいな?」


「だって、今はいくらバイトしたって大人より稼げないじゃないか」


「真一、わいが言ってるのはな。限り有る時間を大切に生きろ!そしてな、本当に大事なもんは何か?っちゅう事がわかるようになれって言ってんのや!」


「それならそうと最初からそう言ってよ!」


「言ってんだけどな!真一!」


そこへ韋駄天が二階の窓から飛んで帰ってきた。

「ただいま~二人で何話してんの?」

「ケンさんがね、難しい話するんだよ」

「いや!韋駄天はん、真一見てたらわかるやろ?」


「ふ~ん~」

そう言うと韋駄天は服のポケットから小さな丸い水晶玉のようなものを取り出して見せた。

「韋駄天君、それ何?」

「この宝珠の玉を持国天に仮に行ってたのさ」

韋駄天はそう言うと真一の額に押し当てた、すると宝珠の玉は真一の額の中にスーッと入るように消えた。

びっくりしたケンさんが「ど、どないなるの」と聞いたが・・・・・

韋駄天は「今にわかるよ」と含み笑いを浮かべ小さく笑うだけだった。