「真一、つれないな~。こんな子犬から野良になってもええのか?グレたるぞ」

「真一、ケンさんは必ず役に立つんだから・・・・」

マキの説得で渋々納得した真一はケンさんを家に連れて帰る事にした。


そして、ケンさんを家に連れて帰ったのはいいが、どうやって親を説得しようかと考え込んでいると。

「真一、男やったらウジウジせんと思い切って行かんかい」

「わかったよ、言うよ」

真一はケンさんに背中を押されるように、だめもとで母親に相談した。

「おかあさん」

「な~に」

「この犬飼ってもいいかな?ちゃんと面倒みるから」

「ダメに決まってるでしょ!結局最後はお母さんやお父さんが面倒を見る事になるんだから」

「いや、今度はちゃんとみるから、お願い!」

「金魚や亀の時もそう言ってだでしょ!エサ代だって馬鹿にならないのよ」

「じゃあ、エサ代は僕の小使いから引いてもらっていいから」

「困った子ねえ、そこまで言うのならお父さんに相談してみたら」

「やったー、ありがとう」

そう言う訳で3ヶ月様子を見るという事で、なんとかケンさんは野良にならずにすんだのであった。

「良かったね、ケンさん。野良にならなくて」

「ほんまや、真一のおかげや。オーイオイオイ」

「そんな、泣くことないじゃない」

「アホンダラ、義理と人情を欠いちゃ男がすたるのよ。オーイオイオイ」

「今時そんな人いないよ」

「真一、そやさかいな、今みたいに世の中が乱れとるんやで」