「食べ終わっちょー? って、完食? えらいえらい」

「あの、おいしかった、です……」


今度はちゃんと顔を見て伝えると、水島くんは瞬きをしてから、やっぱりとても嬉しそうに笑ってくれた。


「あとは薬飲んで、あ、熱は? 解熱剤もらったかや?」


水島くんは解熱剤を飲むタイミングなど医者よりも細かく説明してくれる。熱が上がるのは風邪を治そうとしているせいだから、と冷却シートの使い方まで教えてくれた。


「絶対使っちゃだめってわけでもなかけん。万代は冷たさがあると精神的に楽になるんじゃろ」

「……そういえば毎回、アイス食べたいって」

「はは! んならやっぱ、冷たいの欲しくなるけんね」


くつくつと笑う水島くんが前以上に秀才に見える。


理系とは知っていたけど、いろんなことに詳しい――…。


「水島くん、学校は?」


今さら思い出した疑問を投げかければ、水島くんは「学校?」と他人事のように零す。


「サボリついでに病院行っちょった。この前足くじいたけん、それで――」


目を見張ると、笑って話していた水島くんがハッとする。


「待て、万代。ただの捻挫だけん」

「それって……もしかして、おく、屋上から……」

「違う違う! あの木の上からっ」


やっぱり……! 木といえども、ほとんど3階か2階から飛び降りたことになるじゃない!