・・・しかし、そこまで《サラ》というシステムを想っておきながらなぜあんなトラブルを起こしたのだろうか。それに、もしパソコンを繋いだのが自分じゃなかったりしたら?
もし失敗したら?
どうするつもりだったのだろうか。

考え込んでいると、またセレアが話し始めた。
「マセソン、カミルはね、正直、研究者としては息子よりあなたにものすごく期待していたのよ。 それは私も同じ。きっと、あなたならカミルの研究に触れて、ここを見つけてくれると思っていたわ」
「もし見つけなかったら」
「見つけてもらえなければそれまでだったけど。
でも、あなた小さいときウチに来て私とお茶飲んでても、ずーっとカミルのいる研究室の方気にしてたじゃないの。
興味は深々みたいだったし。それにあなた賢いから信用してたのよ」

ふふん、と笑うセレア。
なんだか見透かされていた様で、マセソンは居心地が悪くなった。

「そ、それより!なんであんなトラブル起こしたんだよ!
成功するとも限らないのに、《サラ》、壊されるかもしれなかったんだぞ!」

慌ててその場を取り繕う。・・・しかし、

「たまたま治せたから良かったものの、
・・・俺だったらあんな真似、絶対にしない」

最後のひと言には、怒気すらこもっていた。


そんなマセソンをセレアは嬉しそうに見つめ、
そして、今は空の上のカミルに思いを馳せる。


(カミル、もうそろそろ良いかしら?
構わないわよね。マセソンは十分いい子に育ったもの。
この子ならきっと、あなたみたいに守ってくれる)