『次の日からいじめられるようになったの。』


アイツが抱えてたのは、俺が思ってたのよりずっと大きくて。


『でも、所詮小学生のいじめだから、上靴隠すとか、ロッカーにゴミ入れるとか。

そんな可愛らしいもんだったし。(笑)』


とってつけたように明るく話してる顔は、引きつりまくってて。


『お前、』


『だから、真弥をかばう綾がすごい遠い存在みたいに思えて。

うちとは違うんだって、改めて思い知らされて。

綾に酷いこと言って逃げてきちゃった。』


無理してつくった笑顔で一生懸命春香は話してくれた。


でも、

『お前さ、綾のこと友達だって思ってたんだろ?』


『……。』


『だから、戸上をかばう綾を許せなかったんだろ?』

春香はもう、一人じゃない。


『…でも、綾はうちのこと友達って思ってないと思うし。』


『自分で確かめたか?』


『……。』


それを春香も、分かってるはず。


『改めて、"友達"作ってこい。

今のお前なら、みんなちゃんと受け止めてくれる。』


『……。』


『自分で壁作ってると、誰も本音でぶつかってくれなくなるぞ?』


『…分かってるよ。
でも、怖いの。

いきなり掌かえしたように態度が変わるのが。』


『相手の方から先に信用してもらおうと思ってるからだろ。

自分から信用してから、相手に信用してもらえ。』


『…うん。』


『春香なら出来るだろ?』


『うん。』