またベンチに戻った。




会えなくても、同じ病院にいたいと思った。



少しでもそばにいたかった。




ベンチ脇の本棚にある雑誌や漫画を読んだりしていると、


時々、エレベーター前にお母さんが見えた。



目が合うと、やっぱり嫌そうな顔をした。




もう一回声かけようかな・・




『待ってやってね』




お父さんの言葉を思い出した。



うん。待とう。


お母さんの気持ちが落ち着くまで・・




うん・・



そうひとりで頷いていたら、


お母さんが近づいてきた。




「ちょっと。


私、これから買い物とか、家の事とかやらなくちゃなの。



明後日から仕事戻るし。



あなた、夏休み暇なの?」




・・・えっ?