悠斗のいる階のエレベーターホ−ルの奥にある、ベンチに姉ちゃんと一緒に座った。
ここなら、悠斗の両親がエレベーターを使っても、よほど見回さないと見えない。
「大丈夫かな…悠斗」
姉ちゃんが私の手を握った。
「大丈夫。絶対大丈夫」
その時、エレベーターが開いて、背の高い男と、茶髪の女が出てきた。
私が体を乗り出して見てしまったから、
女と目が合ってしまった。
ちょっとヤンキーっぽい女は、ニコッと笑った。
「知り合い?」
不思議に思った姉ちゃんが言った。
「いや…知らない」
「ちょっと昔の桃叶っぽいから、友達かと思った」
姉ちゃんが私の肩に、自分の肩を軽くぶつけた。
確かに、ちょっと似てる…と思った。