私のヒールの音が聞えない事に
ようやく気付いて

立ち止り振り向く
祐介との距離は約5メートル


目の前にいるのに届かない


私と祐介の心の差のように
近くて遠い・・・・・・



「・・・どした?紗枝」


どうした?じゃないわ


「けっ・・・こん?」


紡がれる言葉は掠れていて


「おう。今日アイツの家に行ってきた帰り~」


そう言って笑う祐介のセリフに

あーホントなんだと思い知らされる


思い知らされながらも


なんで なんで なんで


それしか脳が発令してくれない


なんで なんで なんで・・・


「・・・・なんで・・・」


思わず漏れた小さな呟き

「なんでって何だよ」


普通なら聞き逃し、聞き返してくるくらい小さな呟きを

笑いながら、当たり前のように拾ってくれるのに・・・


「赤ちゃんでも出来たの・・・?」


逃げられない理由があって欲しかった


「いや?んなヘマしねえよ」


本当は聞かなくても分かってたのに

「・・・そうだよね」


余計落ち込むと分かっているのに


「待たせすぎもよくねえしな~」





トドメの一言を誘導しそうになる